詩的

千草湊のブログ

おはなし23




かりんとう
 



かりんとうにはかりんとうが入っているのよ。
母さんはそう言って一人で頷いた。
テレビでは笑点がやっていて、母さんはそれを見ながらかりんとうを齧った。
ぼくは笑点を見ている母さんを見ながら、かりんとうを齧った。
甘いのだ。
かりんとうも甘いし、笑点のオープニングだけで笑う母さんもものすごく甘いのだ。
かりんとうにはかりんとうが入ってる?そんな馬鹿な。
ぼくは机に置かれたかりんとうの袋を手にとって裏返した。
成分。小麦粉、卵、砂糖、黒糖蜜。
納得なのに。
ねぇ母さん。かりんとうにかりんとうは入ってないよ。
ぼくの声が届いているのかいないのか。
届いているのに届いていない振りをしているのか。
母さんはお気に入りの落語家に夢中のようだった。
ふとテレビに目をやると、その落語家は何かを齧る仕草をして
『“かりん、とう” まい “かりんとう”。』
「ほら!」
なにが。
母さんは大きく頷いて笑ってる。





 

能楽堂に行ってきました。

こんにちは。
ごぶさたしております。

昨日、初めて能楽堂で能を見て参りました。
初心者向けで、おはなしや衣装の着付け実演なども兼ねての構成だったので、とても身近な感じで観ることができました。

もともと日本語や日本の文化には興味ありましたし、少し前に松岡正剛氏の『にほんとニッポン ―読み飛ばし日本文化譜』という本を衝動買いして読んでからはなおさら気になるところではあったので、今回実際に観ることができたのは自分にとってすごく有益な体験でした。

能楽堂


普段舞台を観ることがあっても、やはりそこは西洋の音楽がメインなので、静寂のなかで大鼓と小鼓が呼応するように鳴る様や、そこに笛が勢いよく入ってきて場面を盛り上げる様は、音符では示せない日本特有のもので、それがすごくわくわく(?)しました。

台詞や地謡の日本語の節回しや声の出し方も興味深かったですし、振る舞いや仕草のひとつひとつがそぎ落とされた日本の美を現していたと思います。

源氏物語の葵上の場面だったので、話もなんとなく知っていたのもよかったです。
般若の面も見ることができました!
ものすごい怨念の感情がそこに凝縮されていました。

いやはや、能楽(=能と狂言)は歌舞伎よりも前にあったものということで、古典=むずかしいものというハードルはありましたが、こういった初心者向けのものなら比較的親しみやすいし、ぜひいろんな人に観てもらいたいなぁと思いました。
歌舞伎はたまに行くので比較的身近なのですが、やっぱり歌舞伎とは全然違うものですね!

途中で関根祥六さんのおはなしの中に出てきた、世阿弥の「秘すれば花」「動十分心 動七分身」や、お兄様の「風が見えたか?」という言葉、独楽の動きのお話、どれも興味深くて勉強になりました。
あとは本で少しずつ補完したいです。
あ、もちろんまた機会があったら古典芸能に触れたい。

わたしもまだまだ日本文化や日本の美、思想や哲学など学びたいなぁ。
たぶんいまそういう波が来てるんですね、わたしの中で。^^
せっかく日本人なので、知らないのもったいない!という感じです。



長田弘様



長田弘様




わたしが貴方の詩に出会ったのは中学生のときでした。
夏休みの自由課題、どうやって思いついたのか今では思い出せませんが、当時の自分は好きな詩を集めて、自分だけのお気に入り詩集を作ろうと思ったのです。
小さなスケッチブックに、本から写し取った詩とそれに合ったイラストを描いて、詩の絵本のようなものを。
美術部に在籍していたこともあるのに、絵はまったく幼稚なものしか描けず(それは今でも変わりませんが)、かなり残念な結果になりました。
けれどそのために様々な詩集を手にしていたとき、長田さんの本と出会ったのです。

一言で言えばガツンとやられた感じでした。
シンプルでわかりやすい言葉たち、けれどそれぞれの言葉がたしかに足を地に付けて立っていて、まっすぐに訴えてくる。
そこに描写されていたのは沈黙や孤独の豊かさでした。


わたしは長田さんの詩で「そのこと」を学びました。
それはシンプルなゆえにとても力強く、わたしの胸を突きました。
ただそれだけでいいのだということ。
そんなことを当時まだ誰にも教えられたことなどなかったのです。

小さい頃から詩やお話を書くのが好きでしたが、長田さんの詩に出会い、そこで言葉の力というのをまざまざと見せつけられました。
あの言葉たちがたしかに今も自分の中核にある。




世の中の様々な雑音に胸がざわつくとき、不安になるとき、耳をふさぎたくなるとき、帰ってくるのは貴方の言葉でした。
そこにはたしかに沈黙があり、かーんと内に広がる静けさがありました。
そこはわたしの中庭でした。
癒しであり源でありました。
空を見上げ、雲の様子を眺め、風のそよぎを感じ、小さな噴水から水の音がする。
ただそれを感じ、そこにいる。
孤独でいることのあたたかな豊穣さ、強さ。
世界のすべてが本であり、もっと本を読もうという長田さん。
その言葉を取るなら、その中庭は同時に図書館のようでもありました。


長田さんのお話するカルチャーセンターの講座にも何度も足を運びました。
貴方が発する言葉のエキスのようなものを自分にも取り込めないかと思ってのことでした。
どうやってあの言葉たちが生み出されたのか、どんな思考を持って生きていらっしゃるのか、そういったものを感じとりたいと思いました。
初めての講座のときのドキドキ感は今でもすぐに思い出せます。


貴方がこんなに早く逝ってしまうとは思ってもいませんでした。
このせわしないご時世で求められるのは、長田さんのようにまっすぐに届く静かな言葉なのだと思います。
貴方がいなくなってしまって「そのこと」を現在進行形で発信してくれる人はどのくらいいるのだろう。
心にぽっかりと穴が空いてしまいました。


貴方はわたしにとって言葉の父だったのかもしれません。
いつかありがとうとお伝えしたかった。
中学生の自分が享受した「そのこと」は今も色褪せずわたしの中にあります。

さようなら長田弘さん。
長いようで短い間でしたが、ありがとうございました。
いつかお会いしたかった。
その気持ちをずっと胸に抱いてわたしは生きていきます。
だからいつかそちらに逝ったときに、ご挨拶をさせてください。

貴方の言葉がわたしを育んでくれました。
どうもありがとうございましたと。



千草湊





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長い手紙を書きました。(※たくさん割愛しましてすみません。)
やはりわたしは「伝えたい」人なのだと思います。
だからこそ伝えられなかった悔しさは大きい。




おはなし22





つつじが咲き乱れていたので昔を懐かしみながら蜜を吸っていたら、通りすがりの少年に何をしているのかと聞かれた。
説明をすると少年はなんだか少しあきれた表情になる。
「美味しい蜜は簡単に人に教えちゃだめなんだよおじさん、秘蜜ってそういうことでしょ。」 





Roppongi&London

Hello!
ごぶさたしておりました。
最近はいろいろ吸収中で、なかなかほいっとブログ更新できなくてごめんなさい。
ツイッターくらいの量だったらぽそぽそとは呟けるのですけど。

昨日は荒井絵梨さんのサロンコンサートへ行ってきました!
久々のバイオリンとピアノの生の音にうっとり。
やっぱりいいですねぇ!
絵梨さんがオススメしている北欧のクラシックがなかなか好きです。
後藤泉さんのピアノもやわらかくてとっても素敵でした。


そしてそのあとはロンドンでお世話になった友人と中目黒のギャラリーへ。
そこで新たな出会いなぞありまして、一人増えて三人で六本木アートナイトに行くことに!


150425_01

六本木でこんなアートイベントがやっているなんて友人に教えてもらうまで知りませんでした。
今年で6回目だそうです。
夜通しで街中あちこちでアートイベントや、それに関連したアート作品がありまして。
さすが六本木。
オールナイトも辞さない若者と、場所柄もあって外国人の方もたくさんで賑わっておりました!

で、友人が友人を呼び、最終的にわたしたちは日本とアメリカとイギリス出身の団体になりまして。
なんだか、えっと、ここロンドンだっけ?みたいな気持ちに。笑
楽しかったー!

ロンドンでもいろんなイベントがやっていてすごいなと思ったけど、日本だって結構いろんなのやってますよね!
ただ知らないだけで。
知られてないだけでなんだかもったいない気もします。
しかしロンドンは24時間バスがあるからオールナイトどんとこいですけど、日本だとね、やはり終電がありますからね。

そんなアートナイトの中、深夜までやっている美術館たち。
単位展というのに行ってきました!
22時台だったかな。それでもガンガン並んでるの。

150425_03

展示おもしろかったです!
普段あまり気に留めてなかった単位があんなことやそんなことになってて。
単位がアートに。
笑えるのとか、体感式なものもありました。
身近なものにテンション上がったり、知らない単位にはほほうと思ったりして。

せっかくだからアートな夜に若冲と蕪村展や、森美術館も行きたかったのですが今回は断念。

街ごとちょっとしたお祭りみたいでした。
なんかみんなこういうイベントを楽しんでる感が伝わってきて、日本もまだまだ元気なんだなーと思ったり。

今回はこのイベント知ったのが間際だったから、よくわからないままぷらぷらしてしまいましたが、
次回はちゃんとタイムテーブルとか下調べしてから楽しみたいなぁと思いました。
あと今週末は東京レインボープライドもやってましたね!
そっちも行きたかったなぁ。
知るのが遅いので、対応が遅れる。^^;


しかしこの感じといい、集うメンツといい、ほんとロンドンっぽくて楽しかった!
バイオリンから始まった長い一日でしたが、めっちゃ充実してました。

昨日出会ったたくさんの方に、素敵な時間をありがとう~!!


150425_02





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