詩的

千草湊のブログ

2013年11月

ことば31




野をひらく鍵をあけよ
こじあけるのでも
合わない鍵の束の中を探すのでもない
自然と湧き立ち
手にしている
心からのあくがれが鍵




 



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「野をひらく鍵」という言葉とは以前アンドレ・ブルトンの『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』の中で出会いました。
たまに脳裏に浮かんではわたしを違う世界に連れてってくれる言葉です。



おはなし18



ヒトデ

 

ポストを開けると、乾燥ヒトデが入っていた。
手のひらサイズの青緑色したやつだ。
なんだかわからないが、郵便物とともに部屋に持ち帰る。
酒のつまみにひっくり返したりして眺めた。
水でもかけたら乾燥は元通りになるのだろうかと、手元にあった酒を少しだけたらしてみる。
ヒトデはシュワシュワと音を立て、少しだけ色が明るくなったような気がした。
面白くなってもう少しもう少しと酒を浴びせていると、その度に明るくなっていく。
明るくなると重力も軽くなるらしく、今ではテーブルから1cmくらい浮いている。
最後の一滴をたらすと、ヒトデはクルクルと回りだした。
そして空中を浮遊するようになり、家の中をフラフラと飛び回る。
アルコールのせいか、ガツンガツンとあちこちの壁にぶつかっていた。
窓の方へ近づいていったので開けてやる。
外へ出ると急に元気がよくなったように、回る勢いも早くなった。回れば回るほど光を発している。
そうしてその乾燥ヒトデだったものは、クルクルクルと光を撒き散らしながら空へと上っていった。
あれは星になりたかったのだろうか。



おはなし17



ウィンナコーヒー


珈琲の上にのっているクリームが
まぜてもまぜてもなくならない。
いぶかしげにマスターを見たら、
わーやっぱり無理ですかー。
すごくふわふわしていたからいけると思ってクリームにまぜてみたんですけど。
やっぱり雲じゃダメでしたかって。



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