ヒトデ

 

ポストを開けると、乾燥ヒトデが入っていた。
手のひらサイズの青緑色したやつだ。
なんだかわからないが、郵便物とともに部屋に持ち帰る。
酒のつまみにひっくり返したりして眺めた。
水でもかけたら乾燥は元通りになるのだろうかと、手元にあった酒を少しだけたらしてみる。
ヒトデはシュワシュワと音を立て、少しだけ色が明るくなったような気がした。
面白くなってもう少しもう少しと酒を浴びせていると、その度に明るくなっていく。
明るくなると重力も軽くなるらしく、今ではテーブルから1cmくらい浮いている。
最後の一滴をたらすと、ヒトデはクルクルと回りだした。
そして空中を浮遊するようになり、家の中をフラフラと飛び回る。
アルコールのせいか、ガツンガツンとあちこちの壁にぶつかっていた。
窓の方へ近づいていったので開けてやる。
外へ出ると急に元気がよくなったように、回る勢いも早くなった。回れば回るほど光を発している。
そうしてその乾燥ヒトデだったものは、クルクルクルと光を撒き散らしながら空へと上っていった。
あれは星になりたかったのだろうか。